かかとを踏むな_inst

inuha

「読書感想文の本は
早めに選びに行きなさいよ」
…姉ちゃんはいつもうるさいな
言われなくてもわかってるよ

絵の具　空高くしぼって
なんにも混ぜずに塗ったみたい
僕は信号待ち　見上げた
暑くていやになっちゃうけれど

それはきっと　そのときって
唐突にくるものだよ
だからいっそう愛してって
誰かさんの声がしてる
誰かはわからない

「靴のかかとを踏むなって
何回言えばわかるのよ」
…今ちゃんと履こうと思ったのに
もうほんとうるさい

今日も決まらずに図書館と
Sくん家　行ったりきたり
僕はぼんやりと見上げた
この切なさはなんなのだろう！

いつかこの靴にだって
お別れしなきゃいけなくて
そのときにごめんねって
言えるような人になろう
それとありがとうも

それはきっと　そのときって
唐突にくるものだよ
だからいっそう愛してって
誰かさんの声がしてる
遠い大切な誰か

…よし！この本に決めた