A
手繰り寄せた鼓動は
生糸のままで
迷子のようにか細い
祈りに似た歌
暗がりにうずくまり
戻れないと知る
不規則な囁きに
砂時計は散る
B
庇護欲をくすぐられて
私はもう抗えない
指先で絡めとる
貴方の心臓は
きっと奈落の味
S
一人分だけ埋まらない隙間に
おとしたキス それは甘い余毒
空虚だと嘆いた赤い爪が
ありもしないのに愛を語る
追われたら偶像
終われたら良かった
檻にとらわれて
棘をのみこんだ幸せ
S
独りよがりのゆるやかな真夜中
雑音だけがやけに綺麗だった
閉じていく視界の端で咲いた
わがままをねだる愛の蚕
壊れては切なく
壊しては縋った
月に縛られて
杭を離せない幸せ
——ひらがな——
A
たぐりよせたこどおわ
きいとのままで
まいごのよ(お)にかぼそい
いのりににたうた
くらがりにうずくまり
もどれ[ない]としる
ふきそくなささやきに
すなどけいわちる
B
ひごよくをくすぐられて
わたしわも(お)あらがえない
ゆびさきでからめとる
あなたのしんぞおわ
きっとならくのあじ
S
ひとりぶんだけうまらないすきまに
おとしたキスそれわあまいよどく
くうきょだとなげいたあかいつめが
ありもしないのにあいをかたる
おわれたらぐうぞお
おわれたらよかった
おりにとらわれて
とげをのみこんだしあわせ
S
ひとりよがりのゆるやかなまよなか
ざつ[おん]だけがやけにきれいだった
とじていくしかいのはしでさいた
わがままをねだるあいのかいこ
こわれてわせつなく
こわしてわすがった
つきにしばられて
くいをはなせないしあわせ
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