『ふさぎの虫は夢を』
渇いた部屋に声は溶けて
黒い波紋が拡がり
いともたやすく壊れていく
ぼやけた世界の真実は泡と消え
夜のにおいが立ちこめたなら
甘い記憶はもう鉛のようで
からみついた白い糸は
まるで捕らわれているようで
守られているのかな
ふさぎの虫は今夜も夢を見る
かすかな残り香 抱きしめたまま
嘘の涙が溢れ出した
気づかないふりで時計は止まり
名前を呼んでよ 遠いあの日のように
もう一度 その声で
ふたりの時間を どうか巻き戻して
わずかな望みも叶わないのだ
ふさぎの虫は今夜も夢を見る
かすかな残り香 抱きしめたまま
今夜は眠るよ
渇いた部屋に声は溶けた
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