空が青く見えるのは、高い場所に浮かべる塵が、
青い光をよく反射するかららしい。
僕は、手を伸ばし、
その青色を掴もうと手を閉じた。
しかし僕の手は空を切り、
何も掴めず役目を終えた。
高い、高い空は遠く、
低い、低い僕の居場所。
そんな小さな居場所さえ、
崩れて、
消えて、
無くなった。
僕は落ちる、落ち続ける。
際限なく落ち続ける。
その途中に見えた人影達、
そいつらは笑っていた。
「僕を嘲笑っているのかい?」
彼らには、どう映っているのだろうか?
この滑稽な道化師は。
過去の偉人は言った。
「天才は1%の才能と99%の努力で出来ている」と。
努力すればいけるかかな?
努力すれば届くのかな?
努力すればなれるかな?
あの青い空に。
いらない物を削っていけば、
あそこまで上がっていけるかな?
削れ、削れいらない物を、
軽く、軽く自分を軽く
高く、遠くの綺麗な空へ、浮かんで行けるように。
あの空に僕はなりたいよ。
高く飛べない塵は、風に流され飛び散るだけなの。
だけどそれでも、役には立てるよ。
僕が、努力をしても、
あの青い空はここからは遠過ぎる。
これ以上何を捨て、
何をすればいいの?
未だ、未だ空は遠く、
弱い、弱い僕は無力。
こんな無力な僕は、
笑い、
諦め、
泣きじゃくった。
「僕には何ができる?」
落ちている途中の自問自答。
答えは返ってきた。
「そんなのやってみればわかるよ」
周りから沢山聞こえてきた声を、
僕は振り返って、見回した。
周りの彼らは言った。
「例え1%に入れなくとも、99%は残ってるじゃないか」と。
僕にもできるかな?
僕にはわからないよ。
それでも構わないかい?
彼らは頷いた。
僕は空の出来損ないだけど、
僕にも出来ることがまだあるの?
泣いた、泣いた僕は泣き虫さ。
笑う、笑う彼らは優しく。
高く、遠い綺麗な空じゃ、なくてもいいんだね。
あの空に僕はなりたくない。
雲が空にできるのは、空気中に浮かぶ塵が、
水蒸気を凝結させるかららしいね。
僕は、手を伸ばし、
彼らの手を掴んで握りしめた。
今度は、しっかりと掴め、
彼らの暖かさが伝わった。
青い、青い空は綺麗で、
涙、涙目から落ちた。
しかし、今の僕ならば、
しっかり、
見据えて、
笑えるよ。
「僕たちならできる」
僕が流した涙をすくって、
みんなでそれを上に運ぼう。
あの頃には戻れないが、
それでも今はこれでいい。
運んだ涙が溶けて無くなり、
代わりに僕らは雲になった。
空には届かなかったけど、
僕はこれで満足さ。
青く染まることはできなかったが、
皆で白く輝いた。
「ありがとう、本当に幸せです」
この雲に僕はなれて良かった。
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