猫は今日もまた気紛れに渡り歩くんだろう
暑い夏の日に
傷ついた心とともに拾ってきた黒猫を
もう一年も飼っていた
黒猫は翡翠の瞳で
とても美しい姿だったけれど
黒猫にはひとつの悪癖。
留まることができないから、飼い猫に憧れながら、やはり猫はのら猫だった
俺はそのことを知っていた。
知って君のために、君の憧れを叶えたくて、俺は君を家に招いた。
そして結局、一年目の雨の日に、君はやはり留まることは出来ずに僕の家から失踪した。
預けた心ごと。
構いすぎた俺が愚かだったともそう思うさ。
馬鹿だと笑ってくれてもいい。
翡翠の瞳の妖しさに惹かれていたのも否めないから
ただ俺は預けた心の代わりに誠意くらい置いていって欲しかった
答えを欲しがるのは俺の悪い癖かもしれないけれど。
もう猫はいない。
猫らしい猫に憧れた君はなんだかんだいいながら放浪の旅が似合うと想っているのさ。
本当に暖かな気持ちや居場所が欲しいなら、自分自身の檻を壊せ
本当は自分が作った檻に閉じこもっている
悲しい黒猫
煤けた stray cat
いつまでも理想を追い続ける
しなやかに軽やかに
心の隙間を縫って走り
たどり着く場所はどこかにあるのか
悲しい黒猫 放浪猫
放蕩の末に何を求める
悲しい黒猫 流浪の猫
君を愛した愚かな男を
ほんの微かでも覚えていてくれるかな
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