空っぽの右手で拾った夕闇 透明だった声を聴いてたんだ
形をなぞる指の隙間 思い出す毎に名前を付けた
夜は今も降り続くから まだうまく笑えないみたい
錆びた稜線や雨の点描に 隠したことだけ覚えている
拙い歌を 暮明に掲げる歌を 大人になってしまったけれど
拙い歌を 憧れに続く歌を 携えいつか逢いに行くから
貴方がまだ泳げるように 言葉の海を この思いを
踏切にも街灯にも 大事な何かがあった気がした
深く刻んだ指の折りしろ 忘れたことだけ覚えている
拙い歌を 暮明に捧げる歌を 最後になってしまったけれど
拙い歌を さよならに続く歌を 言えなかったから 言いたかったから
貴方がまだ泳げるならいい 言葉の海を この思いを
瞼を閉じるように朝は来てしまうのに
瞼を閉じるほどに帰りたい場所は増えて
拙い歌を 暮明に迷った歌を 大人になってしまったけれど
拙い歌を その声に続く歌を 残らなくとも
貴方の歌を 暮明に光った歌を 「届くといいな 君にいつか」
貴方がいた 足跡に続く先を 忘れてしまうから 忘れたくないまま
いつか独りでも泳げるように 貴方へ海を この言葉を
空っぽの右手で握った左手 私の歌声は聴こえる?
形をなぞる指に朝を 赤く透けた嘘に名前を付けた
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