昔々、あるところに機械職人がおりました。
技術は誰よりも高く、彼が作った機械はどれもすばらしいものばかりでした。
彼の家には売り物でない、歌を歌う人型機械がおりました。
彼はそれを「機械姫」と名づけました。

歌を歌う機械姫 その歌声は空を羽ばたく。
彼女の願いはただひとつ 彼と共に生きること。

歌を歌う機械姫 その歌声は海を渡る。
彼女の願いはただひとつ 彼と共に朽ちること。



そんなある日、彼女の夢が奪われる日がやって来ました。
機械職人に嫉妬した玩具職人が、彼を陥れようと目論みました。
ナイフを片手に忍び込む玩具職人。その陰は暗く深く。
ベッドの人影を何度も傷つけました。


夜の来ない機会姫 暗闇の世界で何を見る。
彼女の瞳に映るのは 彼の動かない体。

夜の来ない機会姫 暗闇の世界で何を聞く。
彼女の海馬に残るのは 彼の悲痛な断末魔。


朝日が昇り、彼と機会姫をやさしく光が包む。
静かに流れる残酷な時間に耐え切れず、彼女は悲しくも歌い始めました。


ひとりぼっちの機会姫 その歌声は空を羽ばたく。
彼女の願いははてしなく 彼へと歌が届くこと。

ひとりぼっちの機会姫 その歌声は海を渡る。
彼女の想いは届かない それでもまだ歌い続ける。

歌を歌う機械姫 その歌声は空を羽ばたいて。
いつか叶うと信じてる 彼が再び微笑むと。

歌を歌う機械姫 その歌声は海を渡って。
たとえ喉が錆びようと 歌うことを辞めはしない。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

機械姫

なるべく区切りを揃えたつもりですが、合わなかったら申し訳ありません。
メロディーを付ける技術はまだ取得しておりません。

閲覧数:73

投稿日:2008/06/19 23:02:42

文字数:626文字

カテゴリ:歌詞

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