深き山路を尋ね来て 時雨を急ぐ秋の暮
枯れた庵の宿を乞い 恩に主の名を聞かば
声なき御簾の向こうより 白き手指のたおやかさ
差し出すひと葉紅に 散り急ぐかの鮮やかさ
伏寝に聴くは 琴の哀切 恋し哀しと 身を裂くばかり
想い焦がれる 心を映し 天泣くがごとき 雨滴に滲む
軒端 刈萱 珠結び
縁 結んだ 貴女(きみ)なれば
落ちて流れた身の末に
浮き世 恨みて 鬼女(き)とならん
深き山路を尋ね来て 何をせむとや紅葉狩り
遠き都の盛衰の 音も届かぬ途隠しに
隠れ給いし御方の 故は恨める鬼女(おに)の業
声も密かな空言を いかに知ろうか落人に
憂き世 流れは 刃に断てず あわれ哀しく 身を切るばかり
想い乱るる 心を映し 天哭くがごとき 嵐に嘆く
紅れ葉 持ち得ぬ 二つ色
情け深きの 貴女(きみ)なれば
落ちて流れた末なれど
何を恨みて 鬼女(き)とならん
『 憂き世 刃に 流れは断てぬ
あわれ哀しき 鬼を絶つ 』
紅れ葉 狩るかや 露落ちて
紅絹地 染め抜く 竜田川
ひと葉 流れに 散り落ちて
忘れ難きの 眼差しや
忘れ難きの 哀しみや
<読み仮名>
ふかきやまじを たずねきて しぐれをいそぐ あきのくれ
かれたいおりの やどをこい おんにあるじの なをきかば
こえなきみすの むこうより しろきてゆびの たおやかさ
さしだすひとは くれないに ちりいそぐかの あざやかさ
ふしねにきくは ことのあいせつ
こいしかなしと みをさくばかり
おもいこがれる こころをうつし
あまなくがごとき うてきににじむ
のきば かるかや たまむすび
えにし むすんだ きみなれば
おちて ながれた みのすえに
うきよ うらみて きとならん
ふかきやまじを たずねきて なにをせんとや もみじがり
とおきみやこの せいすいの おともとどかぬ とがくしに
かくれたまいし おんかたの ゆえはうらめる おにのわざ
こえもひそかな そらごとを いかにしろうか おちうどに
うきよ ながれは やいばにたてず
あわれ かなしく みをきるばかり
おもい みだるる こころをうつし
あまなくがごとき あらしになげく
くれは もちえぬ ふたついろ
なさけ ぶかきの きみなれば
おちて ながれた すえなれど
なにを うらみて きとならん
『 うきよ やいばに ながれはたてぬ
あわれ かなしき おにをたつ 』
くれは かるかや つゆおちて
もみじ そめぬく たつたがわ
ひとは ながれに ちりおちて
わすれ がたきの まなざしや
わすれ がたきの かなしみや
【曲募集歌詞】 紅葉狩(仮) 【和風ファンタジー?】
秋になる前に!ということで、
思い入れの深いモチーフのひとつ『紅葉狩』で一本書いてみました。
能の『紅葉狩』という鬼退治の話が下敷です。
時の帝を呪い殺したという、都で噂の悪鬼退治を命じられた男は、その鬼の正体が、かつて帝の寵愛を受けながら権力争いから都を追われ、今は山奥で静かに暮らしていた女だと、本当は知っていたのではないか。知っていながら手に掛けたのは、わが身可愛さか、女への同情か、あるいは・・・
・・・あるいはも何も、絶対、横恋慕してたよねw
・・・まぁ、そういう話ですww
(ちなみに本来の『紅葉狩』では、①帝死んでない。②惟茂は鬼退治のために派遣されたのではない。③当然、鬼女の身の上は知らない。④*この話はフィクションです。)
ついでの捕捉。
竜田川は地名ではなく模様のほうです。舞台が長野の話なので。
和風なので、イメージキャラはがくぽかなぁ。兄さんでも良いけど。
むしろ女性陣でも良い気がするけど。<無節操
こういうネタが好きな方いたら、弄ってみてくださいませ。
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