「酒呑みに与うる歌」
酒呑みに与うる歌はなく
ただ平然としてればよい
どこぞ音楽流すもの
やめてくれ聞いてんだ
町の音を聞いてんだ
場違いな格好で来ちまったよ
添える花もねぇ
帰る金もねぇ
ここで寝させてもらうよ
アスファルトが敷布団
冬の夜風が掛布団
冷えるねぇ 母なる大地
その地下で何が起きてる
元の形も思い出せぬほど
町は服を装った
まぎれるために隠せ隠せ
人体はグロテスクだ
郵便局はあっちだ
喫煙所はそこだ
もう少しで春だ
ほらロウバイの香りだ
梅の香りも 言葉の意味も
わからなくなるほどまで
どうしてそんなに酔っちまった
家はどこだい?
頭を悪くしたいのかい
耳を悪くしたいのかい
恥はふえる一方だぞ
敵は自分だ
どんな作品も命も
やがて消えるならば無意味だろうけど
呑み干すこの一杯の
よろこびだけは確かだ
まだ死ねないあんたは
ほんと醜悪で気に入ったよ
酒呑みなんだろ
ほらずっと月見てる
まだずっと夢見てる
酒呑みに与うる歌はなく
ただ平然としてればよい
どこぞ音楽流すもの
やめてくれ聞いてんだ
町の音を聞いてんだ
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