南風は春を告げる様に
暖かな空気を運ぶ
北風は冬を告げる様に
冷たい空気を運ぶ
其々自分の役を以て
人々の下へと運ぶ
ならば僕を運ぶこの風は
一体何処を目指すのか
気まぐれ 流れるまま
なんて聞こえはいいけど
向かう先なんて微塵も
向いてはいないんだ
綿毛達は春の風に乗り
新たな大地にて芽吹く
渡り鳥は冬の風に乗り
厳しい寒さを避ける
其々自分の意志を以て
風に乗り目的地を目指す
ならば僕が乗ったこの風は
一体何処へ向かうのか
本当は分かってんだ
何とも向き合わずに
勝手に吹き荒れるだけの
独りよがりの風
上昇気流は僕を避ける様に
周りを巻き込み上がっていく
それは嘘だ!
乗る気も無かった
昔から僕はそうだった
向かい風が僕の往く道を
塞ぐ様に吹き荒れ阻む
そんな風は僕の幻想だ!
穿て!
未来を創るんだ!
君の風が僕を包み込む
温かく優しい風だ
何時かあの時の風の様に
貴方の下へ届けたい
真っ直ぐ前だけ向いて翔ける
僕だけの風でどこまでも
何時か風が止まる其の日まで
翼が折れる其の日まで
其々自分の風を以て
人々の下へ届ける
ならば僕が吹かすこの風も
何時か貴方へ届くだろう
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2023/07/27 09:18:31