澄んだ夏の朧月(おぼろづき)は
季節外れだ、と雲で隠した
身に纏った紅(べに)は強く
穢れを知らぬ純粋な色で
首から落ちる椿も
美しい顔で微笑んだまま
虚(うつろ)な心が移ろう
隣には可愛い山茶花(さざんか)
夜空に散る花火も一瞬だから綺麗ね
美人も薄命で儚く散るの
傲慢な生き方で極楽を願い
掴み取った徒桜(あだざくら)闇夜に消えた
何一つ残らない出まかせに目眩
はなびらが弧を描いて
飛んでいった 目が回った
冷えた空気の朝ぼらけ
一万年の数奇な運命
様変わりした景色に
椿だけは立派に咲き誇った
忘れられぬあの記憶
鳥は囀り木々は囁く
けれども悲しい空蝉(うつせみ)
叶いやしない御伽噺(おとぎばなし)
一夜(ひとよ)の祭囃子 終われば寂し日常
燃え上がる熱さえ刹那で良いの
豪快な生き様の したたかな女神
ふわり飛んだ花筏(はないかだ)泡沫になれ
とんでもない御法度も 罷り(まかり)通る世界
はなびらが弧を描いて
消えていった 目が回った
水面(みなも)に浮かぶ紅葉(もみじ)
散りゆく様も風情(ふぜい)ね
そんな風に私も生きられたら
強欲に溺れても 必然の出会い
砕け散った青椿(あおつばき)霞に溶けて
狂い咲く美しさ 息を飲む気配
はなびらが弧を描いて
流れてった 透き通った
強引に手を引かれ 何も知り得ない
枝先の花見鳥(はなみどり)風に吹かれて
終わらない輪廻から解き放つ狙い
はなびらが弧を描いて
飛んでいった 消えていった
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