心臓の跳ねる音が同じ人がいた　
理想や屁理屈を雑に投げ合って　
おじゃんにして笑える人がいた　

よく晴れた日には家にこもって　
ふたりきりの部屋で音楽を聞いた　

心臓は跳ねた　
同じような音で　
同じような日々で、同じ笑顔で　


映画のようにはいかないな　
小説のようにもこじれないな　
マンガのように熱くもならない　

理由が何かは分からない　
最後がいつかもあいまいだけど　
そして、きみは死んだ　
生きてるけど、でも　


きみがいない　
だってきみがいない　
腐り落ちる顔も見たのに　
こころの中に残ってない　
思い出はあふれているのに　

きみがいない　
それでもきみはいない　
私の中で死んだはずなのに　
死体も見えない　
どこにもきみがいない　



音楽はやめた　
うるさいから　
嫌いになったきみが見えるから　

綻びは跳ねる、鬱陶しかった　
それが理由だろう？　
違うか　


私にポエムを教えたのに　
君はリアルになってくんだ　
ボアの話もできなくなった　

会うのも喋るのも嫌になった　
私が、いや、きみもかな？　
とにかくきみは死んだ　
生きてるけど　
でも　


きみがいない　
だってきみがいない　
ほつれてく顔も見たのに　
髪の毛いっぽん残ってない　
わだかまりではち切れてるのに　

なんで、なんで、きみはいない　
私の中で殺したのに　
あったかい血も残ってない　
なにも　
なにも　



きみがいない　


きみがいない　
ああ、私もいない　
ここにはもう誰もいない　
虚ろな言葉　
からっぽの体　
中身のない私と私と私に　

やっぱりきみはいない　
歌にもならないこの声だけが　
きっと本音のきみの居場所で　
それはきみのいないゼロの向こうの　



僕には職がない　

僕には熄がない　
僕には惻がない　

僕には飾がない　
僕には息がない　
僕には色がない