ひなびたび

59作目です。気ままな一人旅。とは言え準備もせず出掛けて
「何とかなる」なんて、思わない方が良いのです。きっと。



溶かしきれない滓のような何かが
閃きも気づきも　その場に足止めしている
これはもう　心の「叫び」か「導き」なんだ

下調べもそこそこに　小さな旅 決めていた
「栄えていた」 そう聞いた　ひなびた街並み

誰も気にも留めない風景や物事を
今はひとり　この身に浴びせ留めていたい
歩こうどこまでも　それでしか見えないものが
微笑んで待っているはずだから


広がる田んぼ　脇道のぶどう棚
せせらぎで子供とすれ違い　やさしく見送る
待ちぼうけ　乗り継ぐバスは1時間先で

寂れてるとため息をつくだけなら要らないの
訪問客ノート見る　あふれる喜び

今日は何を食べよう　買い物は思い出を
流行りすたり　追いかけるならここに居ない
話し甲斐のある出来事はきっと無いけど
満ち足りた一日を望むだけ

歴史ある温泉街　聞いても「今や昔」

時計の針　気にする日常はやってくる
朽ちた自販機　ただ切ないと思うだけ
ふらり 旅人が訪れて何ができるの
「いつかまた会いたいな」　言えるかな