Silent Nightを越えて(オフボーカル・マスタリング済)
Silent Nightを越えて
小さい頃は12月になると ワクワクが止まらなくて
弟と一緒にバカでかい木にイルミネーションを飾り付けてた
プレゼントは親からの分と サンタからの分とは別々で
「パパがサンタさんにお願いしといてやるから」なんて
親父がすごい人に見えた
ある年の24日に弟が戯れに
押入れを開けるとそこには包装された謎の箱
子供ながらに目に焼き付け 複雑な思いで眠りにつく
翌朝枕元には 新鮮味のないそれが置いてあった
なんとなく気付いてた わかってしまった
気付かないままが良かった なんだか罪悪感
バカ正直な弟は 得意げに親に自慢する
次の年からプレゼントは1人1つずつになった
大学受験前の12月になると 生きた心地がしなくて
なにかと要領の良い親友には今年も彼女がいて
僕も人肌恋しくなってた
弟は大学には行かずに バイト先の女の子と付き合ってた
「ちゃんと落ち着いた仕事につけよな」なんて思いながら僕は
三年目の大学入試を控えてた
その年の25日に親父から突然に電話越しに言われたのは
おじいちゃんの訃報だった
受験前の大事な時期だから 寮に居る僕は帰れない
弟は実家に飛んで帰る 不甲斐ない僕は鉛筆を折った
そんなこと気付けないよ ずっと元気だと思ってた
自分の現状を呪った 取り返せない罪悪
聖なる日にも人は死ぬ たかが普通の平日だ
次の年から我が家にとっては 大切な人の命日になった
働き出した12月のある日 弟からメールが来た
ずっと付き合ってたバイトの子と結婚するらしい
僕よりも先にあいつが親父になる
次の年の12月25日 弟が一児の親になった
何の偶然かはわからないが命は巡るものらしい
「サンタからのプレゼント」とかそんなもんで終わらせたくはない
なんとなく過ごしてた わかってなかった
あいつは家庭を築いてく なんだか焦燥感
バカ正直な弟も もうすぐサンタの役をする
昔押入れを開けたあいつは プレゼントをどこに隠すんだろうな
今年もクリスマスがやってくる
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