ガーネットを灯して

方舟に乗れなかった僕らの、最後の6分と33秒のうた。

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すこしだけ、話をしようか。
雨が降り出さないうちに。
今夜は星が綺麗だね。
やがて雲に隠れるとしても……。

方舟に乗れなかった僕らは、洪水を待つばかりだ。
それまでのわずかな時間を、ふたりで過ごしたいんだ。

風が吹いて、ろうそくの灯が揺れるように
僕らきっと、すぐ褪せてしまうから
寄り添ってキスをしよう。

泣きたいときに笑える強さは、僕に預けて欲しいんだ。
瞬くたび、な僕の弱さを。君に分けてあげるから……。


君のことを聞かせてくれないか。
僕はあまりに知らなさすぎるんだ。
恥ずかしいことも、誇らしいことも。
長くなってもいいよ。

それから、明日のことを話そう。
何をしようか。
ちょっといいものを食べに行こうよ。
祝うことはないけれど。
君の笑顔が見たいんだ……ほら、こっち向いて。

今はサヨナラCOLORは聞きたくないんだ。
ねえ、君はどう？

言いたいことがたくさんあるはずだったんだけど、もういいや……。
今はただ君の横顔だけを見てれば、それでいいか、って。


雨が降りはじめたね。
波の音も聞こえるね。
でも、明日の夢を見よう。
信じるんだよ。
ただ、それだけさ。

君の口、君の耳、君の左目、君の下唇、
あまり大きくはない胸、折れそうな腰、その他諸々を見つめていたいんだ。
いつまでも、君の隣で。


泣きたいときに笑える強さは、僕に預けて欲しいんだ。
瞬くたび、な僕の弱さを。君に分けてあげるから……。

さあ、行こう。
僕らのまだ見えぬ明日へ。
泣き笑いながら転げて、それでもあの日々の待つ方へ。
さあ、さあ……！