◆A cerulean ramp ～青髪魔神とある麗しき女～◆

呼ばれて飛び出て叶えましょう
地位や名誉や財産も
ひと振り手を振りゃ思うまま
貴女の願いを叶えましょう


いつの時も 人は変わらず
目を醒ませば 紅の女（ひと）

気高きその目に　宿す炎は
すでに願いを持つ瞳

「魔神よ私の願いを聞け」
「私を不老不死にしろ」

凜と放ったその声に
身体の芯が震え出す

「不死にはできない掟　
　ですが　
　死ぬまで不老にいたしましょう」

恭しく頭（こうべ）を垂れれば
女は厳かに頷いた


呼ばれて飛び出て叶えましょう
地位や名誉や不老すら
一振り手を降りゃ叶えられ
貴女の未来（全て）を狂わせる


女の願いを　聞き届け
魔神は再び　眠りの底へ
魔法のランプは 砂の中
一人の男が 拾いゆく


紫の髪の男はランプをかかえ
零れるように呟いた

「主よ願いを叶えたあの女
嫉妬に狂った者共に
刺され吊され逝きました」


呼ばれて叶えたネガイたち
いったいどれだけの人間が
幸せ不幸になったのか
魔神の従者にはわからない


願いを叶えた者達の
悲しい末路を見届けて
紫の従者は今日もまた
ランプを世界に落としてく

主の呪いを解くために
誰かの願いを叶えんと
世界に歪みを落としてく