街明かりが煌々と今日も
帰り道 賑わう駅を照らす
僕もまたこの景色の中で
始まりの足音を探した
色付く頬は寒さのせいだ
鼻の奥を刺す寒さのせいだ
吐き出す息を白く染める
憎たらしいこの寒さのせいだ
降り積もった雪はもう溶けて
水浸しのアスファルト踏んで
あんなに待ち焦がれていた春が
見えた気がして憂鬱になって
別れを惜しんでいる訳じゃないが
やり残した事は沢山あった
間に合わないと悟った頃に
だんだんと自覚するものなんだね
もう会えない訳じゃない
ただ道が違うだけ
一年前の僕に顔向けできるような
一年だったでしょうか?
少なくとも何か動き出せそうな
手掛かり掴めていますか?
流れる日々の中で
闇雲に足掻く事に
慣れてきたら顔を上げて
進む方向に身を委ねるんだ
物干し竿のくたびれたシャツも
失くしていたはずの部屋の合鍵も
グシャグシャにした書きさしの歌詞も
要らないから捨ててしまおうか
鼻の付け根をつまむ仕草が
どうやら板についてきたようだ
理想像からかけ離れた現実
点滅した青信号のようだ
嘘がつけないという嘘を
未来の僕に吐いた
一年後の僕が餞できるような
一年過ごせるんでしょうか?
誰よりも僕が疑う事なく
自分を信じていますか?
立ち止まる僕にそっと
耳元で囁くように
見えてきた消失点の
先で待っている次の主役へ
貰う側から与える側へ
学ぶ側から教える側へ
目指す側から手を引く側へ
いつの間にやら大人になって
何もかもを知ったような顔で
教壇に立つアイツは言った
「君たちの未来は無限だ」
思い返せば確かにそうだ
今の僕だから「君」に言えるんだ
一年前の僕に顔向けできるような
一年だったでしょうか?
一年後の僕が餞できるような
一年過ごせるんでしょうか?
長すぎたこのプロローグ
走り書きで描く答え
寒くたっていいじゃないか
色付いた花は寒さのせいだ
いつかまた逢えるんだ
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