花火は鳴り終わり 寂寥と硝煙の匂い
夏夜の闇へ過ぎて熄える頃
人気のない畦道の通りで
来いよ来いよと招いている影が
何かと思って 近づいてみるけど
どうしたことか 距離が縮まらない
あんまり暗くて 顔も良く見えない
おいでおいでと招いている影が
私は星の仔よ 帰れないと
大奥に佇み こちらを見ているのか
吹く夜風が 余熱を撫でるように
僕に何かを求めているのか
私は星の仔よ 帰れないと
ただ上を見上げて憂いているようだった
天の川を背に湛えた光る山で
僕に何をか求めているのか
分からないけれど 困っていそうだから
僕は山を一緒に登っていた
今日も熱帯夜 日付が変わる頃
提灯を片手に 深夜の肝試し
そう言えば この山は初めて登ったかな
いや盆頃 先祖供養で登ったかな
どうも道中で 鼻突く屋台の香りが
後の祭りの余興と並んでいる
燐の人魂が飛んでいる
布地のお化けも交っている
樹木が唆す 籤引き御布施のインチキ商売屋
私は星の仔よ 帰りたいと
頂に佇み 空を見上げていた
吹く夜風の冷たさと同じような
その素振りは 寂しそうだった
私は星の仔よ 帰りたいと
あの星を指差し言っているようだった
天の川の繁星が集く逆光に翳る
その姿は 綺麗で儚かった
暫くは静かに 何にもない時で
夜空の星を 手持無沙汰に眺めた
夏の大三角を何となく探したら
青い地球が浮いていたんだ
見てはいけないものを 見てしまったような気分
そんな僕を心配そうに覗き込む
月明かりと星の輝きに照る
見たその顔は 僕の顔だった
君は星の仔よ 灼の仔よ
貴方の還るべき星はあそこにある
遠い向こう側で鈴々と聞こえる囃子を
耳にしながら じっと見つめていた
君は星の仔よ 灼の仔よ
貴方の故郷は まだここではないと
吹く夜風に 星へ向けて舞い上がれ
僕の身体が ふわりと浮いていく
私の星の仔よ 灼の仔よ
その身を輝かせ さあ還りなさいと
遠く離れていく 花火も屋台も小さくなって
星の彼方へ消えてしまった もう
夏の終わりと共に熄えた
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灼
灼[アラタカ]|The Unidentified
振り仮名付き歌詞
https://thus-library.tumblr.com/post/689364536102404096
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