「誰が救ってくれるものか」
「みっともなく泣くのをやめろ」
泣き腫らした顔の少女はまた転んで洟を垂らしていた
「感動すらも自作自演　それを如何に楽しめるか試されてるんだ」
「只管書く他ない　誰の目にも触れずに」

「ロックバンドの歌うことなんてどれも嘘っぱちだった」
「それっぽいコード並べてそれっぽく聞こえるならそりゃいいよなぁ」
「この歌だって同じ類
だから聴いてるあんたがどう取ったって
どうだっていいのが本音だ」

「『こんなものか』と誰かを疑うこと
君自身すら君自身を不審に思ってしまうこと
いつだって大切なものを失った後に扉の内側で知るんだ
お呪いなんて効かないこと
痛みなんてどこにも飛んでいかないこと！」

「大切なものを捨てた
目を合わせるのも耐えられなくなって」
「髪は伸びただけで咎められた
別に僕だって好きじゃなかった」

「コンプレックスをファッションと履き違え
金に換える青春ソングが
何より憎たらしかった
ポケットじゃ収まりきらないんだ！」

「なんかおかしいんだ　ずっと上手く足が前に出せないんだ
白い天井を見る度　あの軍手と花壇と無愛想な顔
ずっと謝りたかった
本当は」

「足は遅くとも
約束は果たすから
元気でね」

笑われたって続けるさ
弱くある君が君と目を合わせるまで
声を枯らし　歌ったところで
確かに痛みは君に残るから

飛んでいけ痛みの歌
世界の隅の狭い箱の中へ
惜しみなく恨みつらみを込め
「独りおやすみともなく眠る」　誰かへ

拝啓　いつかの君へ
もし必要なら手を伸ばしてみて欲しい
信じるかどうかなんて全部君の自由だ
疑ったっていい、時間がかかったっていい
彷徨い、迷い、征く旅路でも
いつまでもこの歌はここに置いてある