不死身の心臓/初音ミク

いつの間にか私も私に追いついて
絞られた音が妙に耳に馴染んで 聞こえたりして
答えは今も見つかる目処が立たねえ
どうしたら音楽で人が救えるかとかね

まあ無理かもね

薄い月を追って歩く人に混ざって
週に一度恒例の車輌点検 今日は遅延デー
電車の中ってなんか顔色悪くね？
ファンデじゃ隠しきれない隈が恥ずかしいね

何百何千に収まらない歌を歌って
走っているらしき時代の最前線
その中に君の暗い朝を肯定できる歌って
いくつあったっけ

例えば明日人類が滅んで そう画面に残る私一人だけ
そうなったら後悔じゃんね 死ぬに死ねないじゃんだって
まだ君のこと抱き締め切れてない
てんで届く気配のない腕 それでも探していかなきゃいけないね
君を今救う声 あの日の問題の答え
或いは次にかます人生の大逆転とか

暗い窓に映る顔を眺めて
「私ってこんな顔してたっけ？」
身体は重いのに感覚が薄くて
ふと揺れによろけちゃって恥ずかしいね

合わせた手に見合わないものを願って
忘れていく叶えたかった夢
ただ"今"を凌ぐことに精一杯で
自分って何だっけ

ずっと君は君のこと 過去の自分のこと
憎み続けて生きていたよな
それを責めなくたっていい 止めなくたっていい
その分どの君も私が愛しているから

歳月は待ってはくれなくて 変われないものも愛おしいね
私も私に追いついたけど まだ君のこと抱き締め切れてない

ねえ聴こえてる？私の声 波へと変えた無機質な鼓動で
伝い鼓膜を揺らせ まだまだ鳴り止ませやしないぜ
絶対に届かせる私の存在証明
未だ熱も持たぬ腕 それでも探していかなきゃいけないね
この不死身の心臓を以て 有り余る時間を使って
泣いて喚いた先の人生の到達点を