街から少し離れたところに、そびえ立つ塔。
絶対に中に入ってはいけないと、大人たちに言われてた。
でも、入ってはいけないと言われると、入りたくなってしまう。
深夜街を抜け出して、君の手をとりあの塔へ。
普通に正面からでは入れない。
窓を探して、窓を壊して入った。
塔の中にはいろんな場所があった。
読んだことのない本がたくさんある書庫。
水が枯れない不思議な溜池。
そこには不思議がいっぱいで、とても楽しかった。
でも、あの扉を開けてすべてが変わったんだ。
塔の中のとある部屋、見たこともない草花に喜ぶ2人。
「ねぇ、変な扉があるよ」
「変な扉?」
君についていった先には、とても大きな扉がある。
「…開けよてみようか」
「うん!」
1人ではあかないから、2人で重たい扉を開けた。
そこには、見たこともない草花が咲き乱れ、とても綺麗な光景が広がる。
君は満面の笑みで喜ぶ。
その笑顔が、僕の見た最後の笑顔だった。
いつも夢に見る過去、救えなかった君、残るのは後悔。
またいつもの朝が来る。
あれから月日は流れて、僕は成長した。君は……。
「…もうこんな時間か」
さぁ、あの部屋へ行こうか。
そしてまたいつものように、あの部屋へ入り、部屋の中で一番大きい木に話しかける。
長いあいだこの塔で暮らしてきて、大分ここでの生活というものがわかってきた。
食べ物は、小さな木になっている果物。水は、枯れない溜池。
この2つがあれば、基本的な生活はできた。
僕は基本的に、書庫とあの部屋を行き来するだけの生活を続けている。
書庫にある大量の本、そのどれかが僕の見つけている答えになるはず。
そう信じて読み漁り続けた。
そして、やっと答えが書いてあるページを見つけたんだ。
「これだ…」
僕は書庫を飛び出しあの部屋へ。
大きな木の近くへ立つ。
「待たせてごめんね。今助けるから」
事前に持っていたナイフで、指を軽くきる。
ポタリと落ちた一粒の血液は、木の根元に染み渡った。
その瞬間、木だったものは蔦になり、徐々に少女になっていき。
蔦は少年を覆い尽くしていき、少年は木となっていく。
「……これでいい」
木となっていく少年は、木だった少女を見つめる。
(僕が君にできることは、これくらいしかないのだから。お願い、泣かないで。笑ってて)
少年は笑顔で、少女の身代わりとなっていく。
少女の叫び声はもう少年には聞こえていなかった。
まるで、もう部屋には誰もはいらせないかのように、蔦は少女を部屋の外へ連れ出し、扉を蔦で巻いていく。
一人では何もできないと嘆いても、戻ってこない。
涙を拭いて、少女は久しぶりに塔の外へ。
そこには、自分たちが生まれ育った街は消え、荒れ果てた風景と、後ろにそびえ立つ一つの塔だけが残っていた。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい
  • 作者の氏名を表示して下さい

ロストディズメモリー 小説版

ざっくり補足小説版です

まあ、戯言はこのくらいにして、文章の一部が動画に使われました。
よろしくです。

制作者 楓 代表 カーコ
(楓は複数名ってことですw)

閲覧数:324

投稿日:2013/09/03 11:17:33

文字数:1,152文字

カテゴリ:歌詞

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