膝を抱えた君がつぶやく
「ねぇ、あなたは泣いているの?」
「さぁ」と適当に答えたら
君はまた窓の外を見る
ドアを押しあけた僕がたずねる
「ねぇ、君は泣きたいの?」
「いいえ」とすぐに答えてくれて
君はまた窓の外を見る
一人ぼっちで閉じ込められた
会いたい気持ちを飲み込んで
コーヒーをそっと注いだ
椅子にかけると君は近付いて
「今日の空は、笑ってる?」
とたずねながら夜空を見上げて
ありあまる星を散らした空が
まだ頼りない三日月に支えられて
今日も黒く覆っていく
背中を丸めた君がつぶやく
「ねぇ、あなたは笑ってるの?」
「さぁ」と適当に答えたら
君はまた窓の外を見る
ドアを押しあけた僕がたずねる
「ねぇ、君は笑えるの?」
「まぁね」とすぐに答えてくれて
君はまた窓の外を見る
そして宵闇(よる)に包まれたまま
君は眠りにいざなわれ
僕の膝には君のぬくもりが伝わり続ける
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