〈S〉
耳元で囁かないで。 そう言ったら、どんな顔をする?
涙流したその意味を 忘れてしまう前に、さよならさせて。


〈A〉
腕を組んで、ポケットの中で指を絡める。 ビル風に吹かれて、思わずしがみつくように。
冷えてきたね。ふっとかかる息。少し俯く。 そうだね。マフラーに口をうずめて、呟いた。

〈B〉
例えば、ここで涙を流せたとしたなら、 あなたに何が伝わるのだろう。
ふたりで作っていく物語があるなら、 どこかに挟まったままの栞が、もう動かない。

〈S〉
幾度キスをしたとしても 罪の意識は消えないままで、
浮かんでは消える記憶に、 胸の奥から少しずつ蝕まれ。
誰もいない部屋の隅で、 いつも変わらない夢を見てる。
あなたの冷たい声だけ 耳から離れず、巡り続けている。


〈B〉
静かに、窓を閉じた。音のない夢の中、 ひとりで、眠りに落ちていきたい。
ぷつりと千切れていく。頬を伝って下る。 目蓋の隙間から流れ出した、私の残骸。

〈S〉
幾度キスを交わしたのか、 ふたりとも覚えてはいなくて。
手のひらを重ねてみたら、 あなたの方が温かいようだった。
大好きだった物語。 挟んであった栞を抜いた。
あなたの冷えた唇は、 何かをかたどって、閉ざされていった。

耳元で囁かないで。 そう言ったら、どんな顔をする?
涙流したその意味を 忘れてしまう前に、さよならさせて。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

栞はもう、動かない。

切ない感じで。

閲覧数:91

投稿日:2011/02/07 21:42:43

文字数:590文字

カテゴリ:歌詞

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