粉雪の舞う静かな夕暮れ
息を切らし道を尋ねてきたあの人
近くに住む偶然がきっかけとなって
ふたりの時間が始まりました

互いの家で食事を作ってみたり
電車に揺られて小さな冒険に出たり
居酒屋で悩みから夢まで語りつくしたり
深夜の公園で気持ちを確かめ合ったり

思い出は静かに折り重なり
想いは降り積もってゆきます

時は緩やかに流れ去って
桜の散る穏やかな白昼
もう先はあまり長くないことを
知らされました

それでもふたりは一緒です

出かけることが少なくなり
病院へ会いに行くようになり
声を聞くことすら難しくなって
手を握ることで意思を伝えて

ついに望みは消えてしまったけれど
最期まで受け取り続けた想いが
私の中で脈打って生き続けているから

ふたりの時間は終わらないよ

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
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ふたりの時間 (2007/3/20作)

過去に書いた詩の中から、一部を掲載したいと思います。
2007/3/20制作。改変可。

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投稿日:2009/03/14 12:07:58

文字数:340文字

カテゴリ:その他

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