粉雪の舞う静かな夕暮れ
息を切らし道を尋ねてきたあの人
近くに住む偶然がきっかけとなって
ふたりの時間が始まりました
互いの家で食事を作ってみたり
電車に揺られて小さな冒険に出たり
居酒屋で悩みから夢まで語りつくしたり
深夜の公園で気持ちを確かめ合ったり
思い出は静かに折り重なり
想いは降り積もってゆきます
時は緩やかに流れ去って
桜の散る穏やかな白昼
もう先はあまり長くないことを
知らされました
それでもふたりは一緒です
出かけることが少なくなり
病院へ会いに行くようになり
声を聞くことすら難しくなって
手を握ることで意思を伝えて
ついに望みは消えてしまったけれど
最期まで受け取り続けた想いが
私の中で脈打って生き続けているから
ふたりの時間は終わらないよ
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