見たくないのだから仕方ない。
お前など、生まれてこなければ良かったのに。
『愛しているよ』
必要ないから信じない。
これは病か、あるいは一種のまやかしか?
『僕を信じて』
なあ、お前。
私を覆って、
それに絆されるまで、
私に戦慄を与えて
けれど壊しもせず
酷く甘い言葉だけを落として、そうして消えていく
これはお前の罠なのか?
私にいらぬ筈の感情と温度と、
…それと、お前の心の臓とを、
何故私に託すのだ。
『僕は生きたよ』
お前のせいだ。
『君を愛することができた』
私は、おかしい。
『この気持ちは誇りとなって…』
どうにかなってしまった。
『そう、だから』
見たくはない。
『後悔なんて、できようものか』
信じたくも、ないのだ。
…だというのに、
お前が還るのを、こんなに心待ちにしている。
『…さようなら』
嗚呼、頼むから
『僕の愛しい姫君よ』
私を遺して逝くでないよ。
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