昨日は思ったより出前が早く来てびっくりしたけれど、それに以上に『初音ミク』が届くのが待ち遠しい。
届くのはきっと明日、明後日ぐらいだろう。
とりあえず、昨日様なドジを踏まない為にも買い物に出掛ける事にした。
長い髪を隠すために帽子を被り、なるべく露出を避けた服装ならば、いつも露出高めの衣装しか着せてもらえない私だと分からないだろう。
久しく一人で歩く事が無かったものだから、いつも以上にゆっくりと歩いている。
とりあえず、レストランなどの注文をしなければいけない所は絶対に入れないから、スーパーとかで食材を買ってなるべく早く帰る事にした。
久しくスーパーに来てなかったせいもあって、思ったよりいっぱい買ってしまった。
よろよろとしながら歩いていると、急に後ろから誰かにぶつかられた。
振り返ると、ぶつかって来たのは若い男だった。
男は謝りもせずに、そそくさと去っていこうとする。
その姿を見て私は、ポケットに入れてある財布があるか確認した。
ポケットに入れておいた、財布がなくなっている。
「  !!」
そうだった。
今の私は叫んでも声が出ないから、誰にも私の叫びが伝わらない。
手に持った荷物を捨てる事は出来ず、よろよろとしながらも逃げる男を追いかける。
その時だった。
男の前を、ポニーテールのOLが横切った。
男は私の時と同じように、わざとぶつかりにいく。
でも次の瞬間、男は地面に寝かされていた。
OLはぶつかろうとした男を軽くかわし、男の腕をつかみその腕を男の背中に回し地面に平伏せさせた。
「僕~スリなんて悪い事はしちゃ駄目でしょ。それとさっき、両手のふさがってる女の人から取ったの出しなさい」
男は出そうとはしない。
するとOLは満面の笑みで、
「肩の関節外れてもしらないよ」
「だ、出します、だから許してください」
OLは、男から私の財布を受け取ると男の手を離した。
「はい、これあなたのでしょ」
男を野放しにした常態で、私の所に来た。
男はチャンスだと言わんばかりに、逃げ出そうとする。
私は必死に指を指して、OLに男の事を教える。
「あのボウヤの事は、大丈夫だよ」
私は荷物を地面に降ろし、財布をOLから受け取る。
OLは私に財布を渡すと、男の方に向きなおした。
「津島亮平~もうスリなんてするんじゃないよ~」
どうやら、OLは男の名前をフルネームで名前を知っていたみたいだった。
人通りの多いとこであんな事を言われて、さらに顔まで見られていれば、同じ事をしようと思う人間はそうは居ない。
OLは回りにたくさん人が居るのをみて、私に耳打ちをしてくれた。
「とりあえず、荷物持ってあげるからこの場から離れましょ、ファリスさん」
どうやら私の事まで分かってしまったらしい。
とりあえず、人の少ない所まで来た。
「私は、葉山玲菜。そこらへんに、居そうなOLです」
玲菜さんは私に、軽く自己紹介をしてくれた。
「ファリスさんは、声が出ないんでしょ」
超能力なのか、私が声を出す事が出来ない事まで見抜かれてしまった。
「そんなに、驚かないでもいいて。私が勤めてる会社色んな事業に手を出してて、昨日たまたま病院に行った時に教えてもらったの」
どうやら、昨日の医師がばらしたらしく、玲菜さんはその場で医師に他には話さないようにと注意してくれたらしい。
玲菜さんが話していてくれているうちに、マンション前に着いた。
「ここが、ファリスさんの住んでる所ね」
『折角なんでお茶でも飲んでいってください』と言うのを必死にジェスチャーで表す。
「えっと、『お茶でも飲んでいって』っていってるのかな?」
どうやら、うまく伝わったみたいだ。

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小説?『歌声』 2

うわ、今回も単語のみの出演orz
そんなこんなで声が出ないファリスさん二日目突入というわけなのですが、声が出ないということが結構不便であることが分かる内容です。
とてつもないOLが出てきましたけど、実は彼女重要な人物だったりします。
投稿の方はゆっくりまったりとしていきますので夜露死苦~

閲覧数:152

投稿日:2008/04/17 10:08:35

文字数:1,518文字

カテゴリ:その他

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