A1
取り出すのは
どこにでもある
白いラベル
遠くからも
見やすいように
黒マジック

B1
何かを見つけたら
誰かと出会ったら
素早く書き込んだ
ラベルを貼るだけ
教わらなくたって
皆が知っている
呼吸をするように
シールを剥がして

C1
「好き」と「嫌い」「普通」
ぺたりぺたりぺたり

S1
季節に場所に君に
ラベルを貼りつけてく
書いちゃいけないことも
あった気がするけれど
本能の働きは
どうしようもないまま
貼らずにはいられない
貼らずにいられない


A2
しまいこんだ
心と言葉
持て余して
聞き分け良く
引き際も良く
見せてるよ

B1
背中が気味悪い
何かがべたついた
ラベルの感触に
震えを覚えた
皆に貼ってても
貼られるのは嫌だ
自分じゃ読めないよ
肌が痒くなる

C2
「××」(あれ)も「××」(これ)も「××」(それ)も
剥がす剥がす剥がす

S1
過去に今に未来に
想いを殴り書いて
へばりついたレッテル
心が破られそう
文字を知った獣は
笑顔の牙を剥いた
貼られるよりも前に
貼られるより前に


E
臆病者の
防衛機制
何故何かを感じずに
生きられない

C3
差別区別ラベル
ぺたりぺたりぺたり

S3
安らぎ守るルール
愛を残したポエム
すぐにかすれてしまう
曖昧に口ごもる
皮膚の裏の底まで
手を触れてほしいのに
貼らずにはいられない
貼らずにいられない

S4
君に貴方に順に
ラベルを貼りつけてく
きつめに縛り上げた
包帯にも似ていた
良い悪いじゃないんだ
理解をしたいだけだ
貼らずにはいられない
ラベリングワールド



【譜割り・()は一音分】

A1
とりだすのは
どこにでもある
しろいラベル
とおくからも
みやすいように
くろマ(ジッ)ク

B1
なにかをみつけたら
だれかとであったら
すばやくかきこんだ
ラベルをはるだけ
おそわらなくたって
みんながしっている
こ(きゅ)うをするように
シールをはがして

C1
すきときらいふつう
ぺたりぺたりぺたり

S1
きせつにば(しょ)にきみに
ラベルをはりつけてく
かい(ちゃ)いけないことも
あったきがするけれど
ほんのうのはたらきは
どうしようもないまま
はらずにはいられない
はらずにいられない


A2
しまいこんだ
こころとことば
もてあまして
ききわけよく
ひきぎわもよく
みせてるよ

B1
せなかがきみわるい
なにかがべたついた
ラベルのかん(しょ)くに
ふるえをおぼえた
みんなにはってても
はられるのはいやだ
じぶん(じゃ)よめないよ
はだがかゆくなる

C2
あれもこれもそれも
はがすはがすはがす

S1
かこにいまにみらいに
おもいをなぐりがいて
へばりついたレッテル
こころがやぶられそう
もじをしったけものは
えがおのきばをむいた
はられるよりもまえに
はられるよりまえに


E
おく(びょ)うものの
ぼうえいきせい
なぜなにかをかんじずに
いきられない

C3
さべつくべつラベル
ぺたりぺたりぺたり

S3
やすらぎまもるルール
あいをのこしたポエム
すぐにかすれてしまう
あいまいにくちごもる
ひふのうらのそこまで
てをふれてほしいのに
はらずにはいられない
はらずにいられない

S4
きみにあなたに(じゅ)んに
ラベルをはりつけてく
きつめにしばりあげた
ほうたいにもにていた
いいわるい(じゃ)ないんだ
りかいをしたいだけだ
はらずにはいられない
ラベリングワールド