【序章-はじめに-】

 これから私が記していく物語は、mothy_悪ノP様が創られた『悪ノ娘』に始まる有名なシリーズ曲集(以下【悪ノシリーズ】)にまつわるお話です。

 「二次創作」という特質上、世界観や登場人物の設定に原作と異なる記述が含まれることを、あらかじめお断りしておきます。また、あくまで個人の妄想に基づくものですので、ご覧になる方のイメージにそぐわない場合もあるかと思います。その点をご考慮戴いた上で、ご覧くださるようお願い致します。
 それでもご不快に思われる方については、作品の閲覧を中断されることをお勧めいたします。
 なお、当ページに公開される全ての作品は、原作者様とは一切関係ありません。何かありましたら、投稿者である「醒月」個人にご報告ください。


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 「むかしむかしあるところに」

 それは、どこにでもある物語の、ごくありふれた、はじまりの言葉。
 ひとこと唱えたならば、たちまちの内に遙か望遠の旅に誘う、魔法の呪文。
 

 それはとある時代、とある国のお話。
 いつの頃のことなのか、何という国だったのかを知る者はいないでしょう。
 なぜなら、その国は遙か昔に歴史の中に消えてしまったからです。
 
 ただ、とても緑が豊かで平和な国だったと、いくつかの文献がそう記しています。
 そんな国がどうして滅びてしまったのか。災害か、戦争か、はたまた何か別の事情か。謎は様々な憶測を呼び、多くの識者が真実を求めて論議を繰り返してきましたが、結局どれが正しいのか、答えを導くことは出来ませんでした。

 しかし、その中で誰もが注目する一つの資料があります。
 とある国に伝わる詩人の歌です。それは、その国にかつて実在したとされる王女にまつわる物語。齢十四にして暴君と恐れられ、革命の果てに断頭台に送られたという、「悪ノ娘」のお話。
 いえ、この悪ノ王女の国が、私が語ろうとする国というわけではありません。
 このお話には、悪ノ王女の国の他に、二つの国が登場します。
 ひとつは隣の国。そしてもうひとつが海の向こうの国。
 今、私が話題にする国を仮に「緑の国」とするならば、この隣の国こそがまさにその国ではないかと、そう仮定する説が最も有望とされています。地理的にも地域性からも、数少ない資料に読み取られる緑の国の風土に合致しますし、もともとこの悪ノ王女の国は、緑の国の近くに存在したのではと言われてきました。
 そして、この物語の中で緑の国は悪ノ娘によって滅ぼされてしまうのです。

 この「悪ノ娘」についても様々な論争が繰り広げられ、数多の仮説が生み出されましたが、それはまたの機会に。ここで注目したいのは、物語に語られる「緑の女」という人物の存在です。
 お話の中で悪ノ王女は、「緑の女」への嫉妬から隣国を滅ぼしたとされます。

 実は、緑の国にも「緑の聖女(おとめ)」と呼ばれた少女が存在したという説があるのです。
 この少女は、もとはこの国の王女でした。国が民政へと移行し、王族がその存在意義を失ってなお、国民から愛され続けたといわれるこの姫は、まるで国を象徴するかのように、緑の彩を纏っていたと言われています。
 そして、この姫については、この現代に至ってなお、纏わり続ける噂があります。
 その噂こそ、私がこれからお伝えしようとするお話の要なのです。

 悪ノ娘の物語を真とするならば、この緑の少女はまるで悲劇の主人公のように、誰もが哀れむ一生を終えたことになるでしょう。
 が、しかし。歴史とは一方を語ればもう一方は隠されるもの。はたして「緑の聖女」とはどのような人物だったのか。
 それについては、またの機会にお話しするといたしましょう。


 「むかしむかし、あるところに」

 それは誰もが知る、はじまりの言葉。
 語られる歴史が真か偽りか、それは貴方次第。

 詩人は詠う。かつてこの地に栄えた人々の喜びを。
 詩人は歌う。忘れ去られた古の友の嘆きを。

ライセンス

  • 非営利目的に限ります

『悪ノ娘』二次創作ネタ/序章

以下の原作及び作品を参考にさせて頂きました。
この記事を二次利用される際は、これらの方々にもご連絡ください。

原作『悪ノ娘』『悪ノ召使』『リグレットメッセージ』
原作者/mothy_悪ノP様(http://piapro.jp/mothy

参考
『緑ノ娘~緑の子視点~』/胤成林檎 様
http://piapro.jp/content/xjwxnm7co10b4a2u
『復讐の娘』/岬屋 様
http://piapro.jp/content/ohuuujb50jfo0t34

閲覧数:232

投稿日:2009/04/25 00:22:18

文字数:1,661文字

カテゴリ:その他

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