春空


ずっとずっと暗い
ここから抜け出そう？
抱きしめてた身体をひきのばし
揺れる頭　外の光
アタシは歩き出す

昨日とは決して違う景色
頭上のガラスには
見慣れない姿
真逆の世界
同じなのは吹きすさぶ風だけ

風が流れるから
時には凪いで
暗闇から光を見いだすことができて
なにもかも一つじゃない

聞こえないこともあるから
見えないこともあるから
感じとれることもある
なにもかも同じじゃない


頭上のガラスには
アタシとひび
見慣れない表情(かお)
昨日と違う世界
同じなのはいつか見た空

せめてせめて
この反対側の地が
悲しみであふれていませんように
悔しさはアタシがたくさん洗い流したから
せめてせめて
この反対側の地が
喜びではじけていますように

未来はきっとやってくる
昨日は絶対やってこない
明日は絶対やってくる

もう桜(はな)は満開で
花弁は綿毛と一緒に散った
誘う鳥の声
この反対側の地に
芽が息吹くことを
望むのは　欲なんだろか


目の前に佇むワタシ
錆色の空気
いつも そこにあって
いつか いなくなる

止まっても　動いても
春は来るから
休みつ　休みつ
また歩き出そうか


昨日は絶対やってこない　けど
明日は絶対やってくる し
未来だって絶対 くる

愛されることを知っているから
愛することを知っているから
明日がやってくることをアタシは知っているから
せめてせめて
この反対側の地が
愛する明日を迎えていますように


ずっとずっと暗い
ここから抜け出そう？
抱きしめていた身体をひきのばし
揺れる頭を支えて立ってみた
それだけで体が軽くなった気がした
外の光が見えた
アタシは歩き出した