遠雷、知り合い、午前二時。
今日も架空の君を見てる。
すがるように ためらうような
氷のように うつくしいひと
心と体は
こんなにも離ればなれだ
箱の中の猫と話す
午前の電話は限りない
丁寧に消したはずの過去が
ひとつひとつあなたを責める
遠雷、誰そ彼のキッチン
今日も電話は鳴っていない
晴々しくない 清々しくない
嬉しくもなく うつくしいだけ
心は、体は
ここに確かにあったのに
箱の中の猫と話す
午前は静かに繰り上がる
あなたを呪うあなたのまぼろし
はたしてそれは あなたの罪だったのか
悲鳴も産声も いまは聞こえない
かみさま、これが愛なのですか
うつくしいひとよ
ちいさなその箱のなかに
誰を仕舞っているのだろう
拝啓、わたしたちの知らない誰か。
かみさまでないのなら いなくなって。
箱の中の猫を逃がす
明け方の嘘を許しはしない
あなたの罪があなたを救い
ひとつの夜が終わるとしても
世界をうたう、うつくしいひと
あなたが今日も 眠れますように
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