雨上がりを待つぐらいなら
ほら今すぐ逃げ出してやる
後悔だらけの毎日だ
現実から背を向けた
逃げるにも手段はいるので
辺りを必死に見渡した
雲の奥に隠れていた回送列車に乗った

戻りの電車はないけれど
雨が降らなければ気にしない
窓に叩き付けられている雨粒を見ていた
散々濡らしてきた雨粒が
簡単に凌げてしまっていて
なんだかバカらしく見えたので
呆れ笑いをした

錆びた手すりを掴んだまま
閉まるドアを見ていた
夏の匂いが途絶えて
目の前から消えていった
線路脇密かに咲いていた
1輪の花が愛おしくて
動き始める列車の中で
景色が滲んでいく

震えた言葉で明日を形作った
そんな夜も悪くないと笑っている
止まない雨から逃げたい毎日よ、さようなら
軋む床を見ながらそう呟いた

見ているうちにいつしか
窓が曇らないと気が付いた
それどころかよく見れば
窓に誰もいなかった
誰も見ていない心情は
どうやら昨日に行きたいようで
僕は冷たい手を握って
知らない振りをするのだ

走る列車の真下に見えた藍色に
小さく見えるのは僕の居た駅だ
大きな火の花を間近で睨んで通り過ぎる
そんな夏の日を恨んだまま

トンネルを抜けた先に見える無人駅
雨は降ってなどいないのだろう
生きるの意味すらも分からずに息を吸うまま
目の前の月が霞んでいく

震えた言葉で明日を形作った
そんな夜も悪くないと笑っている
あぁ真夜中と藍に沈む回送列車

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マヨナカ回送列車

回送列車に乗った。そんな夏。

ボーカロイド処女作「マヨナカ回送列車」の歌詞です。
YouTube: https://youtu.be/Wh0rFUGL3RM

ニコニコ: https://nico.ms/sm39106092

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投稿日:2022/01/05 22:52:07

文字数:609文字

カテゴリ:歌詞

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