眠たい目を擦った
物心元年、浮遊感の金土
どこかの国の不思議を知れても
空の上の城に至れなかった、いつも
22時付近の境界線
向こうにいる大人達は
確かに大人に見えた
一方で私はまどろんで、
さっきまでの物語とは
違う夢を観るのだ。

でも見た夢をすぐ忘れてしまうから
ただでさえ不連続なそれは
よく分からなくて
つまらないものだった。
溶けかけた意識へ入り込む
遠くの喧騒。
私も早く、あの中に混ざれたらいいのに。


帰り道の深夜高速や
大晦日だけに許される夜ふかしとか
ハレの日の様な高揚感と
言うなればケの眠気が混ざりあう
今ならそう形容するだろう。
その時の私は
言葉を持ち合わせておらず、
でもただ、楽しかったという事は
確かに覚えているのだ。

私が成長していくのと共に
夜の秘密は明かされていった。
とても起きてなんていられなかった
真夜中さえも日常の一部になったら、
あの夢の続きは見えなくなった。


眠れなかったり、眠らなかった日を
繰り返していくうちに
私の生活は夜へと追いやられ、
現実のそれも退屈と知ってしまった。
あの頃の彼らを含む大人達も
同じ事を考えていたのか。
今となっては知る由もないし、
知ったとて、
あの気持ちはもう戻らないのだろう。

また変な時間に眠ってしまっていた。
明日はもう今日に変わっている。
視界のぼやけた狭間、
外もまだ白みそうにない。

こんな今でも、きっと悪くないのだ。
きっと。

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  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

夜と私の雑記帳

しっとり夜更かしポエトリー

閲覧数:98

投稿日:2022/07/21 00:34:33

文字数:621文字

カテゴリ:歌詞

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