真っ赤な紅茶を淹れましょう
メイドも兵士も一人も居ない
静かな静かな赤いお城
庭に咲き誇った真紅の薔薇が
ぽとりと一輪地面に落ちた
女王の自慢の赤い薔薇園
彼女はそこで紅茶を飲むの
だけど一人はつまらない
ああ お客様?いらっしゃい
一緒に紅茶を飲みましょう
少女が傍に来て座る
その手は真っ赤に染まっていた
女王は少女に問いかける
「あなたも赤がお好きかしら?」
差し出す紅茶は真っ赤に透き通り
一口飲むと甘くてどこか不思議な味
赤い少女に赤い女王と赤いお茶
気付けばポットの中身は空に
さあ新しい紅茶を淹れましょう
案内されたのは城の一室
転がるのはいくつもの首たち
女王は嬉しそうに微笑む
「あなたの紅茶が飲みたいわ」
少女も楽しそうに微笑んだ
「私も同じことを思ってたの」
ホストが居ないお茶会はおしまい
消えない赤に染まった少女は城を出た
「さあ、白ウサギを探しましょう」
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