俯きながら蝉を銜えた猫 それは夏の名残を過去へと運ぶ
寝ぼけまなこの羊は夏を架けて 高い空の雲間に彼女を探す
湖底近くで壊れた僕を余所に 赤い空へ浮上する彼女は―
暖められた世界を撫でるように 破壊的で詩的な涙を降らす
「醒めないで。」 「行かないで。」 「夢のような美しさ―、目醒めない白日に―。」 「堕ちて。」
目が醒めて夕蝉泣いて 汚されました僕の悲しみ
庭先に名もない鳥が ワルツの様にくるりと咲くと
茜色 あなたの顔が想い出せない 熱のせいかな
どこまでも飛んで行ける気がしてた よだかの星
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