青戸達輝が面白い話を教えて差し上げます。

ある日、友人たちとキャンプに行くことになり、全員で楽しみに準備をしていました。キャンプ地は山奥の自然に囲まれた素晴らしい場所で、星がきれいに見えることで有名でした。しかし、到着した私たちはすぐに違和感を感じました。キャンプ場の入り口に立つ看板には「この先、自己責任でお楽しみください」と書かれていたのです。何だかちょっと不安になりつつも、せっかく来たんだからと、私たちはテントを張り、夕食のバーベキューを始めました。

ところが、バーベキューの途中で、突然ガサガサと茂みが揺れました。「熊か？！」と皆がびっくりして身構えると、茂みから出てきたのは一匹の野良猫でした。ホッとしたのも束の間、その猫が我々の夕食に興味津々な様子で近づいてきたのです。せっかくの食材を守るため、友人の一人が手を振り上げて追い払おうとしました。すると猫はビックリして飛び上がり、まるでスーパーマンのように私たちの頭上を飛び越え、鍋の中に「ぽちゃん」とダイブしてしまったのです。さあ、大変！

慌てて鍋から猫を引き上げようとするも、猫はしぶとく粘ります。しかも、鍋の中のスープが妙に美味しかったのか、逃げる気配がありません。「うちの猫じゃないんだから！」と叫ぶ友人に皆で大笑いしながら、なんとか猫を引き上げて解放しました。猫が去った後も、鍋の中には猫の毛がふわふわと浮かんでおり、結局そのスープはお蔵入りとなりました。

夜も更け、テントで寝る準備をしようとしたその時です。今度は、突然テントが揺れ始めました。何事かと思って外を見てみると、巨大なイノシシが我々のテントに興味を持ったようで、鼻先でテントをくんくんと押しているのです。しかも、イノシシの顔は妙に穏やかで、どこか親しみがある表情。どうやら我々の食べ残しに引き寄せられたようですが、テントの中には逃げ場もないし、どうすればいいか分かりません。皆で「ど、どうしよう？」と顔を見合わせていると、リーダーの友人が突如「話しかけてみよう！」と訳の分からないことを言い出しました。

リーダーは真剣な顔でイノシシに「こっちは友好的なんだ、だからさっさと帰ってくれ」と話しかけ始めました。イノシシが理解するはずもないのに、彼は真剣そのもの。しかし、なんと驚いたことに、イノシシは一瞬じっとリーダーを見つめたあと、鼻をくいっと上にあげて、まるで「OK、分かったぜ」というように悠々と立ち去ったのです。

その瞬間、皆で大爆笑。「今の何？イノシシが話分かるのかよ！」と、笑いが止まらず、リーダーは「俺は動物に好かれるんだ」と得意げ。翌日、我々はそのイノシシが去った方向にお礼を言いながらキャンプ地を後にしました。キャンプの思い出が一生忘れられないものになったことは言うまでもありません。