太陽の光さえ届かない
真っ暗闇の水底(みなぞこ)
立ち上る硫化水素
それに群がる白い生き物たち
ぼくはそこに沈んだ魚
ここは深海
ここは寒くてなにもない
ここは寒くてなにもない
仕方ないからよくわからないものを食べる
暗闇を青い光がまたたく
顔のおおきな魚がとおる
ここは深海
鯨の骨がよこたわる
僕は沈んだ魚
ここに来たのは望んだのか望んでないのか
ここは暗くて音すらしない
ここは暗くて音すらしない
仕方ないから上をあおぐ
幽霊のような魚がするりと通り過ぎる
彼は言ったよ
ここにいるのもわるくない
彼は言い捨てたよ
ここがいちばん"底"だ、最低だ
もうあらがうことに疲れてしまった
浮かび上がることはもうないだろう
鯨の骨は少しずつ朽ちていく
僕はくじらのほねになりたかった
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