序
その花をてにしたものは、世界の王となるという。
善を支配し、
悪を支配し、
世界の支配者になるという。
1
「初音ミク、アクティベート完了。」
とある研究室。
男の研究員と女性研究員が作業している。
男性研究員が言う。
「私たちは全力をつくして、この初音ミクを作った。
あとはこのミクを女王の楽園へ送り届けるだけだ。
ミクがどうにかしてくれる。」
「どうにもならなかったら?」
「その時は僕たち人間は滅びるだろうね。」
2
ミクはとある荒野の道を歩いていました。
ミクが途方に暮れると青く輝く鳥がミクに話しかけてきました。
「ミク、君はこの花葬楽園の女王イービル・マリアに会いにいかなくちゃけないんだ。」
「どうして?」
「世界が危機に瀕しているんだ。だから、それを助けてほしい。」
「わかった。まかせて。」
ミクはそういうと、イービル・マリアの宮殿に青い鳥に導かれ行きました。
3
女王の宮殿で、ミクはイービル・マリアに会いました。
イービル・マリアは言います。
「夢幻の丘に、イービル・フラワーが咲いていて、その花を手にしたものはこの世界の王になれるのです。前の所有者は私でした。花の力があまりにも強大なので、
私はその花を手放したのです。みくさん、あなたはその花が、心無いものにわたるのを防ぐためにこの花葬楽園に来たのです。場合によってはあなたがその花をてにしてもいいと私はかんがえています。この世界をよろしくお願いします。」
「夢幻の丘でその花をまもればいいのね。わかった。まかせて。」
4
ミクが丘に行くと、すでに一人の女性が来ていました。
「私は支配者になる。」
彼女がそう言って花をとると、イービルフラワーは様々な色彩で輝きました。
世界すべての善と悪がその女性に襲いかかりました。
光はやがて暗い輝きになり、世界を黒い雲で覆い隠していきました。
悪の力が、世界をおおい始めたのでした。
ミクは歌います。
花よ 世界を映しておくれ
一つの花びらに愛を宿しながら
一つの花びらには破壊の色を
時のうつろいの中で
花びらはうつろい
私は美しさの中で
信じるべきものを失う。
イービル・フラワー
時の中で彷徨い
イービル・フラワー
信じるべきものを探す。
私の願はあの花にと届くかしら
花は世界を映し出している
希望の光が、その花でありますように
希望の花が、私の歌でありますように
5
ミクの歌で女性が手にしたイービルフラワーの黒い光は薄れていきます。
その時、イービルフラワーがミクに呼びかけます。
「あなたに本当の心をあげる。
あなたを人形から生きている存在にしてあげる。
だから、私を受け入れて。」
ミクは答えます。
「私を作っているすべての思いが私のこころだから、だから私はあなたを受け入れるわけにはいかないわ。」
そうミクが言うと、花は輝きを失い、女性の手から落ち再び丘の上でひっそりと美しい花を風に揺らせていました。
6
それから、ミクは、イービルマリアに会いに行きました。
マリアは言います。
「イービルフラワーは力を使い果たしました。
次の王を受け入れるまでにあと数百年はかかります。
その時世界の悪に打ち勝つくらい善の力が強くなっていることを祈りましょう。」
「うん、私うたうわ。人々の笑顔のために。」
そう言うとミクは輝き、もとの世界へ帰って行ったのでした。
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