夜行列車は連れて行く

貨物車両に
偽者の恋心と
嘘で固めた架空の君

一等車両に僕を乗せて


名高い屋敷の豪華なパーティー
僕の様な“子供(ガキ)”が招かれた
紙ッぺらの束が大好きな
真っ黒の猛獣たちが来るそうだ
オレンジに輝くシャンデリア
赤い絨毯に転がる宝石たち
優しさだけに包まれた夫人たち
本日の晩餐を知る使用人
影の紳士はニタリと笑う
血で染められた
長い一夜の始まりだ

僕は何も知らない
知っていても関わらない
使えない優しさを
どうしたら使う気になるだろうか

ナイフを濡らす真紅の雫
僕の左手が疼きだす
殺人衝動と理性の狭間
だから僕は“僕”を殺す
また独りきりのパーティーだ
招待したのは僕ではないのに
つまらない
人形遊びでもしていようか
誰かが僕を見つけるまで
さっき鳴いてわめいていた彼らで

枯れて 枯れて 枯れて
僕の中の欲望の花
咲いて 咲いて 咲いて
本能の造花よ
色の無い世界で叫べばきっと現れる
孤独 孤独 寂しい
空想と妄想と架空の感情 感傷

僕を憎む子供を見つけた
同じくらいの年頃の女の子供(ガキ)
僕を見るなり瞳を真っ赤にさせて
拳銃で一発、二発打ってきた
そのくらいじゃ僕は死なない
あぁ、でもちょうどいい
さぁ、僕を殺して


夜行列車は連れて行く

貨物車両に
偽者の恋心と
嘘で固めた架空の君

一等車両に僕を乗せて

行き先は

荒地の墓の丘

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • 作者の氏名を表示して下さい

僕の左手と嘘

jocoso「僕らの詩」で投稿した詩を再録させていただきました。
もし使ってくださる方がいたら、使ってください。m(._.)m

閲覧数:83

投稿日:2008/06/15 06:12:45

文字数:603文字

カテゴリ:その他

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