『幸町の夕日』
ヘイヨー どうだろう 明日もまた振り出しで
ハイ・ローばっかを気にする世の中さ
今日もぼんやりと一日を過ごして
明日もぼんやりと過ごしちゃうのだろう
ラジオから流れるくだらない話を聞き流して
今朝も朝八時にホームについて手を擦り合わせる
ありふれた日々に感覚が麻痺して
電車に揺られ戦場へ
つまらない日々を変えたいって 思わなくなったのはいつからか
冴えない顔をぶら下げて 歩く足はもはや自動操縦
黒い野良猫が足元に寄って来て
なにか良いことが起こりそうな気がした
車窓の景色もとっくの昔に色あせてさ
モノクロの日々をゆっくりゆっくり積み重ねる
灰色の空気に体が順応して
まるで煙草みたいだ
嫌になるほどのロンリネス 今更脱する気も無くて
いっそ自分も黒猫に 生まれてたら幸せだったかな
駅前で歌うミュージシャンのギター
気怠そうに走る軽トラ
今日もこの世の彼方此方で
負け犬は吠えるよ バウ・ワウ・ワウ・ワウ
そろそろ幸町に夕日が落ちてくる頃だろう
あの黒い野良猫も寝床に帰る頃だろう
真っ赤な顔した大きな夕日は
西の空へ落ちていく
夕日が落ちたら夜になって また朝がやってくるのだろう
昨日と同じような顔をして少し違う明日が来るのだろう
人も町も黒猫も優しい色に染めていく
赤い 赤い 夕日が今日も幸町に落ちている 落ちている
お前にも見えているだろう
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