夕闇と過日

歌詞

いかれた胸が見せる、自嘲気味に赤く熟れた柘榴
歪んだ背が、軋む、軋む
どうせ、醜いまま死ぬ
虚ろな黄昏に、揺らされている、陽炎
貴方は咽返ってる

「怖くない、怖くない。枯れていくことは」
二つ眼を縁取った、青白い闇
橙、隠れる、五分前、二人
手を繋がずに聞いた
潮騒、満ちて、満ちて、隠す――

レコードを聴こう　あの歌を教えてあげる
ここに全部置いてっていいから、ねえ

束の間、頽れた

許して　許して　救えない　だから　私を
許して　許して　答えは　聞こえない　だけど
笑って　笑って　一度だけでいいんだよ　ねえ
笑って　笑って　変わらない私を

私の心が未だ真夏にいる訳はね、
きっと、たぶん、貴方に出会ったからだよ

やけに浮かされる透けた肌
泣きながら、笑ってた
受け入れた、だなんて嘘だ

こんなに、私は、ただ貴方にみとれてた
――夕闇が、消えた

斯くして、貴方は焼かれて征った
灰にすらなれないまま
あの歌を聴かせられなかったまま

ほら、私の胸にも、お揃いの果実が――

(許して　許して　救えない　だから　私を
許して　許して　答えは　聞こえない　だけど
笑って　笑って　一度だけでいいんだよ　ねえ
笑って　笑って　変わらない私を)