ぬるい風の中のざわめき
二人の夏はあんなに遠いのに
何も知らなかったから
そうよ今だって渡れない対岸を
見つめているだけ
本当は知りたくなかっただけかな
私の中で騒ぐ悪魔と天使達が
丘の上に立っていたあなたの姿も
その丘も群青の空も草花も
頬を濡らしてとぼとぼ歩いた
つらかったでも恨んだりしないよ
届くことない「ありがとう」を
明日からの糧にと紡いでいけたらね
家に置き忘れた携帯の留守電
一言だけ「待っている」と
時間を止めてはいけないから
見なかったことにしておこうか?
でも忘れられない
お前も大きくなったなと
皿の水に舌を出す猫の背を撫でたら
ちょっとだけ見えた気がする
夕暮れ時の一番星
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