色あせ始めてる　かじりかけの林檎
真白に染められた　記憶は遥か遠く
小さな傷ですら　許せないくらいに
思えたはずなのに　今は何故こんなに

どうでもいいものばかり集めて
真赤に実るよ毒蛇林檎
首をもたげた果実は灼熱
生き延びたいなら近付く勿れ

人知れず零れた　涙がまた一つ
色あせた林檎は　元には戻れない
滴る蜜ですら　虫唾が走るほど
歪に飾られた　痛々しい果実

忘れたい言葉ばかり集めて
醜く熟した毒蛇林檎
「逃げ出したいなら僕をお呼びよ
　ひとくち齧れば連れ出してあげるわ」

歪に実をつけた　真赤な蛇りんご
憂き世に疲れたら　おひとつ召し上がれ

零れる蜜ですら　身を焦がすくらいに
激しく焼き付いた　禁じられた果実

赤い首もたげて　絡み合う姿は
業火に身を焼かれ　悶える蛇の様に

巻きつき咬みついて　すべてを飲み込んで
貴方を誘うよ　戻れない場所まで