夜を舐りながら愛の技巧を覚えた
ひとの影が失せギニョールは佇む

今宵眠る場所は
伊勢佐木町が終わる辺りの
青と赤の糸が交差する回廊

ぬけがら埋めた公園に咲く花から
私を呼ぶ声 あのひと
虚空に夢描く


杭を深く刺され染まるまつごの想
一度だけでいいヘテロのからだで

排気ガスとノイズ衣装の裾を汚す
あたしはなぜ、まだ、
生きているんだろう?

いのちを埋めた公園で遊ぶ子らが
遠巻きに眺め 嘲笑する
白塗りの鬼を


なきがら埋めた公園に咲く花から
私を呼ぶ声 あのひと

虚空で聴く子守唄(ララバイ)

ライセンス

  • 非営利目的に限ります
  • この作品を改変しないで下さい

フェイクファー・レディ

知っていますか?
横浜の観光地、山下公園は、
関東大震災で壊れた大量の命の瓦礫で埋め立て、
平和を願う公園としてひらかれたんです。

戦後間もなくから10数年前まで、横浜には或るホームレスの
老婆がいました。
彼女は上級の兵士専門の高級娼婦だったと、噂では聞いています。

全身白いレースドレスを着て、真っ白に
顔を塗り、重そうな紙バッグを両手に持って、伊勢佐木町や
馬車道、黄金町あたりを歩いていました。

ある宝飾店の玄関先にあるベンチ、あるいは奥にあった化粧室で、
鶴が眠るように深く首と背中を曲げ、目をつむっていた彼女を、
私は何度も見かけました。ファストフードの店で隣に座ったこともあった。
声をかけようと思ったけど、最後まで、声がかけられなかった。

伝説の娼婦「メリーさん」。Web内コンテスト用があった時、
設定を少し変え、掌編テキストを書きました。
コンテストのテーマは「ライバル」。
この話では、一体だれとだれがライバルだったのでしょうか。

そして今回、VOCAJAZZ参加という縁を得て、
歌詞へ書き換えたのが本作です。

元テキスト:
http://homepage3.nifty.com/reticle/text3/11-league/texcon.html

閲覧数:424

投稿日:2012/01/09 15:02:28

文字数:255文字

カテゴリ:歌詞

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