思い出の鏡ヶ丘よ。
青森県立弘前高等学校の敷地内にある、『鏡ヶ丘記念館』。明治二十六年、青森県尋常中学校の校舎として建てられた。現在では、当時の建物の大部分がなくなっているが、県重宝として保管されている。
春は門出の季節。学校とは、まさにその代表格である。今でこそ、記念館という扱いを受けているが、この凛と佇む洋館も、かつては弘前の学生の学び舎であった。春になれば、正面の一本の桜の木が、小さいながらも花を開かせる。それが、茹だるように病的な夏を過ぎ、鮮烈な恋をする紅葉色の秋を、目が眩み悴む冬を過ぎた学生たちに、幾度も温もりの色を届けた。
弘前高校の卒業生として、色褪せながらも鮮やかな思い出の鏡ヶ丘を、彼女と共に見つめたい。
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