色は変わらじ
*初期の小学唱歌にアイルランド、スコットランド由来のメロディに文語定型の日本語詞をつけたものが見受けられます。先人の名歌には及ぶべくもありませんが、そんな雰囲気ができないかと作ってみました。
「色は変わらじ」
うつつなりしやはた夢か
野もせを巡るまぼろし
空の高みに手を伸べて
心は風を慕ひき
そのかみこの身も童さび
まだ見ぬ方にあくがれ
望みし草木も行く水も
なべての色は変わらじ
活計(たつき)労(いた)づき術も無み
惑える日々のつたなさ
人の嘆きを背(せな)になし
かたくななりし若き日
手足はし萎へてくづるれど
今しも夢の迷ひ子
悔ひゆへこの身はたぎりしが
去りにし君は帰らじ
時の汀をたもとほり
いく春秋をさまよふ
胸の奥拠にまた点る
思ひの行方たづねて
眉根(まよね)に影なす夕暮れも
髪に霜置く朝も
形は移ろひ止まねども
心の色は変わらじ
コメント0
関連動画1
クリップボードにコピーしました
ご意見・ご感想