気だるい昼下がり
淡い陽が街を包みこんで
無意識のため息は
濁る 水面 を少し揺らした

色んな人達と
出会い、別れることもあったけど
寂しくはないでしょう？
そう、自分に言って聞かした


うろんな憂鬱に もたれる
時間の感覚が 次第に
早くなっていく


飲み干したコーヒーカップ
お砂糖とミルク 入れないままで
大人になりたくて 背伸びした
やっぱりそんなに 好きじゃないな

重ならぬコーヒーカップ
私だけの苦しみを
奪わないでほしい、と願ってしまった
損な気性ね 慣れんのが当然さ


読み終えた愛読書
大分使い込んだ ブックカバー
覚えるほど読んだけど
何度 読み返しても飽きないの


躓いて こぼした ホット
杯に返らない 空ぶった熱
離散してく 苦味とカラーが
ふとした夕立に 消えていった

今を嘆いても 心地良いか
甘んじて 飲んだ キャラメルマキアート
ここに居座って 街を眺めた


飲み干したコーヒーカップ
お砂糖とミルク 入れないままで
大人になりたくて 背伸びした
やっぱりそんなに 好きじゃないな

重ならぬコーヒーカップ
私だけの苦しみを
奪わないでほしい、と願ってしまった
本当はもっと 優しくなりたい


甘過ぎたコーヒーカップ
私、少し 弱かったみたい
白いお砂糖を使い切って
味覚を奪って 今日を溶かした

割れそうなコーヒーカップ
私だけの悲しみに
触らないでほしい、と嘘をこぼした
こんな気性で 愛されたいなんて