―――純粋を盾に無知に沈む者の記憶―

いつかの遠い日の君は　この花の色を聞いて
学の無いボクは問いに答える術が無くて
はぐれ者同士寄り添ったボクたちの安寧は
非常で過酷な世界の中で守った日常

君が今日も　微笑んでいるから
泥水を啜り　この場所がいつまでもずっと
続くように星に願った

言葉を知らないボクは今日も　一輪咲いたアルストロメリア
その色がどんな色か　君にどうやっても伝えられなくて
過ごした日々の中で　偶然を忘却した
愚か者は永遠を夢見ては
最愛を「また明日」って眠って

―――優しさを矛に病に朽ちる者の記憶―

最初っから光の無い瞳を持って
欲の匂いと喧騒だけに囲われて
蝕んでいく人より少し早歩きな心臓は
大好きな人をいつか傷つけてしまう罪を犯すんだ

貴方は今日も　微笑んでいるから
さよならが今日も　言い出せず命だけ減って
あといくつ　隣に居られる？

光を知らない私の眼　一輪香るアストロメリア
その願いがどれだけ遠く　君にどうやっても応えられなくて
過ごした日々は今日も　有限を謳い続け
愚か者は　終点を恐れては
「おはよう」って　あと何度言えるだろう

―――エピローグ―

いつかに問われたこの花の色を　言葉にしたとき
君はもうこの世に居なくて
遅すぎた後悔が　行き場のない感傷が
崩れ去ってく　憧れていた未来は

言葉を無くしたボクの声　一輪枯れたアルストロメリア
この色がこの願いが　君にどうやっても伝えられなくて
過ごした日々は遠く　偶然と思い出して
愚か者は　永遠を夢と知る
「おはよう」って　もう一度言えたなら
「また明日」ってなんてさ