もうこれで何十年
ぽっといなくなったんだよ

大声で泣きくずれたぼくの
背中をさすってくれないから
目玉が大きく膨らんでく
もう少しではちきれそうだよ

会いに来て会いに来て
ぼくの体あげるから
心も体も全部
全部全部あげるから
早く来て

幽体離脱なんてできないぼくは
今日もあなたを探して踊る
ここにいないな、なんて呟くぼくは
もうあなたに恋してる証拠だ
涙なくなる日まであなたのために
大きな声で泣く泣く吠えるだろう
ぼくの世界はあなた色


もうこれで何百年
そろそろ疲れてきたんだ

掠れた声じゃ愛も叫べぬ
叫ぶあなたはここにいないな
小さな心臓いつの間にか
ミクロ単位のものになったさ

愛よ来て愛よ来て
ぼくはもう長くないよ
心も体も全部
全部全部なくなりそう
早くしろ

幽体離脱なんてできないぼくは
今日もここであなたを待つだけ
どうしたって会えないのは何故何故だ
ほらこんなにぼくはあなたに会いたい
あなたの名前を呼ぶ続けたせいで
自慢の声もなくなってしまった
ぼくの世界はあなた色


透明な鏡があった
薄すぎて気づかなかった
そっと手をのばしてみた
でも怖くてそっと手をおろす


もしかしてって予感が頭をよぎる
今日で終わりなの終わりなのか
歯車が動いたピースがはまった
もうこんなに警鐘鳴ってたんだ
聞こえないふりしていたのはぼくです
声も涙も心臓もあなたの
あなたのためになくなった

鏡の中であなたが嗤った
死んでいたのはぼくだった