ふたりでひとり
ひとりでふたり
生まれたときから
これは秘め事

小さなときから知っていた
これは話してはいけないと


【二重奇行】


""ようこそおいでくださいました""
小さな肢体を
写したのはどちら

さぁさ手招きを
踊りましょうか

貴方が
望む方へ
あぁ、そちらの
ステップでよろしいのですね

ゆっくりゆっくり
変わらぬ時間は
ときにときに
すべてを狂わせた

すべる手に
今宵は満月
先ほどのワインは
お口に合いましたか


かたり　動かぬ今を
そっと見守り続け
心にあるは忠誠の心

どちらでもない
カタコトな言葉を
繰り返してはむせ返す

ああ

今宵の品を
お届けにあがりました
そっと微笑む
口端があがる
月明かりに照らされた
長い髪が麗しい

楽しい余興だったと
おきまりの台詞の後に
これまたおきまりの
問いかけが降ってくる

"どちらがほんとうなの？"

貴女が問うたびに

"どちらもほんとうですよ"

とただ嘲った


どちらも偽りではない
僕らの真実(ほんとう)
どちらも本物だから
あたしの鼓動

さぁ見つけてよ
どこかのだれか
これを見破った人はない
貴女さえも


またまた繰り返す
この狂った宴を
どちらかが壊れるまで
歌い続ける

さぁさ今宵は誰が
お越しになるでしょう？
素晴らしい遊びを行いましょう


ふたりでひとり
ひとりでふたり

""生まれたときから
これは秘め事""


ふたりがひとり
ひとりがふたり
ふたりのひとり
ひとりはふたり



さぁさ
今宵はいかがいたしましょう

か？