S1
月白(げっぱく)に染まる空
哀しみをだきしめそっと
私の影を踏んでいる
帰らなくてもいいですか?
A1
名残りゆく声が
私の中に入り込んで嗚咽を洩らす
B1
貴方は気付くのでしょうか?
私の胸の内の想いには
貴方のことだからきっと
きっと気付いて居ないのでしょうね
見上げるとあの曇天は
涙色に染まる
S2
隣で見た朝焼け
もう思い出せないのです
貴方が居ないからよ
だから隣に来ませんか?
A2
零れ落ちたもの
数えては空しさだけが木霊するのです
B2
早く来てと裾を引いた
今はもう懐かしき思い出
貴方は憶えていますか?
なんて思い出の語らいはもう
終わりの時間で御座います
涙は気付かないで
S3
月明かりに照らされ
赤い頬が暴露(ばれ)たかしら
貴方が口付けなんて
するからで御座いましょう?
C
どんなに望もうとも
叶わないのなら
私が貴方を
創って差しあげましょう
S4
作り物でもいいから
と望んでしまった私
対価は払いましょう
穢れたこの御霊を以て
S5
思い出の語らいは
そろそろ終わりにしましょう
幸せで在れましたか?
落ちる涙は哀色(あいいろ)に
染まる
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